アスベストの定性分析方法2つの違い

アスベストの定性分析方法は実体顕微鏡と偏光顕微鏡を使うJISA1481-1(以降枝番1と表記)、位相差・分散顕微鏡とX線回析装置を使うJISA1481-2(以降枝番2と表記)の2種類があります。ここでは、それぞれの分析方法の特徴や違いを解説します。両者の違いは層別の判定が可能であるのか否か、枝番1は可能ですが枝番2はできません。仕上げ塗材は上塗り材や主材(中塗り)、下地調剤など複数の層で構成されていますが、アスベストが含有している層を知りたいときは枝番1で行います。

また、枝番1は、建材だけでなく天然鉱石にアスベストが含まれていることを確認できますが、枝番は建材のみが対象です(吹き付けバーミキュライトは除く)。そのため、石綿を不純物として含有するリスクを持つ天然鉱石に関する適用範囲に違いがあることが分かるのではないでしょうか。なお、枝番1は、国際規格のISO22262-1をベースにした手法で、国際的に幅広く活用が行われていること、比較的短時間で判定結果を得ることができます。ただ、この手法は建材および顕微鏡など幅広い知識と経験が求められるなど、作業者の技術力に依存するといった特徴があります。

これに対して枝番2は日本独自の分析手法で、技術者の力量に依存しにくいとされます。しかし、X線回析は石綿および回析ピークのパターンが類似している鉱物がある点、位相差顕微鏡や分散顕微鏡で得られる計数は、本来繊維状ではない粒子も計数にしてしまう可能性もあるといわれています。

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